350年続く土作り

こだわりの自家製堆肥

江戸時代中期、川越藩主松平信綱により新田開発が行われた当地。

荒野を開拓し、井戸を掘り、畑を開墾して以来、先祖代々農地を守り育ててきました。

新田開発された地域では、屋敷林で出る落ち葉を使った「落葉堆肥」で痩せた畑の土を肥やしていました。

現在では屋敷林も減少し、落葉堆肥の生産量は大きく減少してしまいましたが、当社では地域で出る伐採枝を粉砕したチップと、養鶏場から運んでもらう鶏糞、収穫残渣等を主原料に自家製堆肥を作り、畑の土作りに使用しています。

また近年では、市内特産の狭山茶生産者にご協力頂き、茶工場で余った茶葉を自家製堆肥と混ぜ、野菜作りに活かしています。

地域で発生する未利用資源を活用する事で、有機物に富んだ健康な土を作り、化成肥料の削減、循環型農業を実現したいと考えています。

野菜の美味しさ

野菜の美味しさを決める要素は色々ありますが、特に重要だと思う事に「鮮度」「旬」「品種」「栽培方法」「情報」があると考えています。

当社では以下の点を意識して野菜作りに取り組んでいます。

鮮度 ・・・ 品温の低い時間帯での収穫。収穫後の温度管理。素早い調整、早期出荷。

  ・・・ 季節毎に適した作物、品種の選定。適期収穫を行うための栽培計画作成。

品種 ・・・ 食味と見栄えのバランスを重視した品種選定。

栽培 ・・・ 作物の生命力を活かす栽培管理。過剰ストレスの低減。病害虫の予防的防除。

情報 ・・・ 栽培過程や生産者、生産現場の情報開示。見た目と品質を重視した等級選別と荷造り。

土壌診断と有機質資材の活用健康な野菜を作るにはまず健康な土作りが欠かせません。

その為、毎年作付前には各圃場毎に必ず土壌診断を実施しています。

農家の勘に頼らない科学的な分析により、作る作物に合わせて土の成分バランスを整え、過剰施肥による土壌汚染を防いだり、病害虫の発生を抑制します。

自家製堆肥の他にも、食品工場から出る発酵汚泥肥料を利用。
微量要素の補給や土壌改良、微生物の住みやすい土壌作りを目指し、蠣殻や卵殻、豚骨粉、籾殻や廃菌床などの有機質資材、緑肥作物などの積極的利用をすすめています。

化成肥料の使用量削減と適切使用

いくら有機物が良いとはいえ、有機質肥料だけで全ての畑の土壌成分を最適に調整するのは非常に困難です。

一枚一枚の畑の状況、それぞれの作物毎の生育状況に合わせた必要栄養素を適切に補給する為に、土壌診断を基に適量の化成肥料を使用し調整します。

化成肥料の原料も鉱物など自然界に存在する天然物質です。

堆肥や緑肥作物を活用し土壌の保肥力を高めたり、畑の排水性を高めることやビニールマルチを使用することで肥料の無駄な流亡を抑え、化成肥料の使用量を減らす取り組みを行っています。

また近年では作物が持つ抵抗力を高めるバイオスティミュラント資材の活用も盛んです。

農薬の使用量削減と適切使用

農薬についても不安視される事があると思いますが、現代農業では野菜毎に各農薬成分の使用時期、使用回数、用量、用法等、安全基準が科学的に厳格に定められています。

適切に使用された農薬成分は栽培期間中に自然界で分解され、食用の際に人体に悪影響が出るような残留はありません。

一方、いかに天然成分をもとに作ったとしても自家製農薬の類には科学的安全性は担保されません。

また化学農薬と言えど万能ではありません。病害虫は圃場外から飛来しますし、蔓延大発生してからの治療駆除は不可能です。

物理的な防除として、土壌の太陽熱消毒、輪作体系の構築、緑肥の活用、適切施肥。防虫ネット、ビニールマルチの使用。耐病性品種の導入などを行っています。

農薬の使用を抑え、健康な作物を作るには土作りと物理的防除、それに加え事前の予防的な農薬の使用が大切です。

作物を病気や害虫から守り、健康な野菜を安定供給する為に適切使用を厳守しています。

安全安心と栽培履歴

安全安心な野菜を提供することがプロ農家の努めです。

科学的な安全性と、心理的な安心感は必ずしも一致しないものですが、安全に管理した野菜を、安心して食べて頂きたい想いから、作付け毎に肥料、農薬の使用履歴を記帳し、必要に応じて開示できるように栽培履歴書を保存しています。

またいくら安全だと言われても、誰がどこでどう作ったか分からない物では安心できないと思います。

生産者の顔や想い、現場が伝わるよう情報発信に努めていきます。